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フィンランド教育に学ぶ、“性格”じゃなく”スキル”という考え方

更新日:8月5日


子どもの手に土と植物の小さな苗

こんにちは。名古屋市瑞穂区の小学2年生からの科学・探究教室、ミナトコラボです。


「see the good」というカードを知っていますか?


最近、印象に残った本があります。

それは、フィンランドでの生活を描いたエッセイ本『ヘルシンキ 生活の練習』。

もう10年前になりますが、教員時代にフィンランドに2回研修・視察に行ってから、フィンランドの教育に興味を持ち続けていて、手に取った本でした。


社会学者であり「ワーママ」でもある作者の、お子さまが通う保育園で使われているというカード。

あきらめない、集中する、優しい、リーダーシップ、など、人間の「強み」を数十個、カードにして並べたもので、フィンランドでは教育現場で「スキルの練習」に使われているそうです。


思い出したのが、フィンランドの高校・大学での経験です。




フィンランドの先生たちが繰り返し話していたこと


「学校教育の目的は、“「学ぶスキル」を学ぶ”こと」

これは、視察に訪れた高校の先生も、セミナーで出会った大学の若手研究者も、インタビューした教育カリキュラムをつくる教授も、みんなが口をそろえて語っていたことでした。

当時の私は、教育の「現場」も「上」の人も、同じ目線で教育を語っていたことに驚きました。


高校の先生たちも、大学の研究者も、「生徒にいろいろな学ぶ方法を教えるのが教員の仕事」と言っていました。

教育カリキュラムの設計に関わる教授は、「大学(院)の教員養成課程では、自分で、教育の質を高めていく研究方法を身に付ける」と。



授業を「振り返る」時間をつくったら、生徒が変わった


このフィンランド研修から帰ってきて、私がまず取り組んだのが、授業のなかで振り返りの時間を増やすことでした。


単に「教科の知識」について何を学んだかを振り返るのではなく、

「勉強の方法や学びに向かう姿勢、グループ活動中の行動」などについて、何を学んだか、そして「その学びはあなたの将来にどうつながっていくのか」

そんな問いを投げかける時間です。


(今では学校教育に取入れられているので、お子さまもやったことがあると思います。)


すると、生徒たちはいつも驚くほど熱心に書いてくれました。

でも、ほとんどの生徒がこう書いていたんです。

「これができなかったから、次はがんばりたい」って。


もちろん、それも立派な振り返りです。

でも私はずっと、**「できたこともいっぱいあるよね?」**と思っていました。

自分の学んだことを、自信をもって答えてほしいと。




「グッドアンドベター」が教えてくれたこと


育休があけるころから、名古屋市内の学校にはキャリアコンサルタントさんが常駐するようになりました。

私は新しい教育の知見を学びたくて、授業の中でできる振り返りの方法を相談していました。


そこで教えてもらったのが、

「グッドアンドベター」という振り返りの方法。


グループ活動のあとで、

「あなたのこの行動がよかったよ(Good)」

「こうするともっと良くなると思うよ(Better)」

と、生徒がお互いにフィードバックし合うんです。


これを授業で取り入れてみたら、生徒たちの書く言葉がガラッと変わったんです。


「説明がわかりやすかった」と伝えられた生徒は、次は「資料を見せながら説明してみたい」

「アイディアが面白かった」と伝えられた生徒は、次は「みんなのアイディアを組み合わせて新しいアイディアをつくりたい


生徒に「今日の振り返りどうだった?」と聞くと、嬉しそうに、「こんなこと褒められた!こんなこと、できた!」と教えてくれました。


「できないことを反省する」から、「できることを見つけて、もっと育てたい」へ。

フィンランドで見た、“スキルを練習する”教育のかたちに少し近づけた気がしました。




「スキルは練習できる」という気づき


『ヘルシンキ 生活の練習』を読んで、大学や高校だけでなく、「小さな子供たちの世界でも“スキルの練習”があたりまえになっているんだ」と感じました。


感情のコントロール、友達との関わり、意見の伝え方――

「性格」や「才能」の存在も否定するわけではありませんが、なんとなく「変わらないもの」、「変えにくいもの」、と感じてしまいます。

そうじゃなくて、「練習によって育てられる」スキルとして捉えるっていいな、と。


そして、それを周りの大人や仲間に伝えてもらえる、自分で見つける方法を教えてもらえる、っていいな、と。




ミナトコラボも、“スキルを練習する場”でありたい


ミナトコラボでも、

• 伝えるスキルを練習する

• つながりをみつけるスキルを練習する

• 分けたり、比べたりして考えるスキルを練習をする


そんな“スキルの練習”を大事にレッスンを設計しています。


苦手なことに注目して「できなかったね」と伝えるより、

「これができてたね」と伝える関わり。


そういう場を通して、子どもたちが自分のことを「いいな」と思えるような経験を重ねていけたら――

それはまさに、“自己理解”の始まりだと思うのです。



おわりに


「see the good」

それは、目の前の子どもの中に“よさ”を見つけること。

そして、自分自身の中にも“育てられるスキル”があると信じること。


教員時代の経験も、フィンランドの学びも、

ミナトコラボでの日々も、すべてがつながっています。


これからも、子どもたちが「できること」を見つけて育てていける場所を、みなさんと一緒につくっていけたら嬉しいです。



・紹介した本

『ヘルシンキ 生活の練習』

『ヘルシンキ 生活の練習はつづく』

(著:朴沙羅/筑摩書房)






📅 ミナトコラボの体験会が決定!

8月24日(日)13:00〜14:00 「浮く?沈む?」

簡単だけど「なぜ?が広がる」実験で、中学受験にも頻出の、浮力について学びます。浮いたり沈んだり、不思議なおもちゃを作って持って帰ります。


対象 小学1年生から

9月からの科学・探究コースにご興味のある方、ぜひこの機会にミナトコラボを体験してください。保護者の方、ご兄弟の方とご一緒の参加も歓迎です。


料金 小学生のお子様一人3000円

体験後、一週間以内に9月からの科学・探究コースに入会された場合、入会金2000円が無料になるキャンペーン中!


場所 パロマ瑞穂アリーナ第一会議室

   地下鉄名城線 瑞穂運動場東駅 徒歩9分

   弥富学区、陽明学区、豊岡学区、汐路学区、瑞穂学区の近くです。


ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせくださいね。






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